いよいよ3幕、物語は大きく動き始めます。
町外れの酒場で絵を描く仕事をしているマルチェッロ。彼の元にある日ミミが尋ねてきます。ロドルフォが私の事を疑わしげに思っているのではないかと、どうか助けてほしいと。そんな話の途中に、酒場で寝入っていたロドルフォが割り込んできます。あわてて隠れるミミ。ロドルフォはマルチェッロに「もうミミとは別れたい。あんな浮気女とはもう一緒にいられない」と訴えます。でもそれは言い訳だろうと見抜くマルチェッロ、追い詰められたロドルフォは、心の奥底に渦巻く本当の思いを告白します。
3幕のこの部分は、僕がこのオペラで一番力の入る部分、ロドルフォがミミを如何に愛しているかをぶつけるシーンです。ここでの思いの強さがこの先の悲劇をよりクローズアップさせる仕掛けとなっています。良くこの部分だけ取り上げてコンサートで歌ったりしますが、それだけの重要なドラマがここに詰まっているのです。
「ミミは病気なんだ。少しずつ彼女の体を蝕んでゆく、もう死を待つだけの体なんだ」そう、彼女の透き通るような肌の理由はそこにあったのでした。自分が心引かれた大きな事柄が実は彼女と永遠の別れの暗示するものになるなんて。誰にも、もちろん彼女にも語らなかった事が奔流の様にこみ上げてしまった、でもそこにミミが居ようとは夢にも思わなかったのです。物陰から泣き出しながら咳き込みながら現れるミミ。取り繕うべく駆け寄ったロドルフォに「別れましょう。この寒い冬が終わった頃、暖かい太陽が迎えに来てくれる頃に」と告げます。酒場からいつものごとく痴話げんかをして 飛び出してくるムゼッタとマルチェッロ、4人の心情の対比が見事に4重唱に描かれています。
プッチーニですごいなと思うのは、感情表現が自然に音楽に書かれていること。つまり音楽に心を合わせていれば、主人公たちの考え、行動、心の変化などがすべて分かるという事です。しかも現代を生きる我々にストレートに響いてきて古臭いところなど全く無いところ、やはり天才と呼ばれるにふさわしい作曲家なのですね。
さて次回はいよいよ4幕。お楽しみに!
