どう考えてもヴェルディは素晴らしい!
今日はミューズ川崎で10月13日・相模大野での東響さんとのコンサートの合わせがあった。マエストロは深いヴェルディの『謎』を解き明かし、ひとつ一つ丁寧にオケの音を作り上げていった。一言の度にオケの音が変わってくる、東京交響楽団の反応の良さにも感激した。木下さんは艶、響き、ニュアンスとも超一流で、やはり中期ヴェルデイを歌うのに最高の実力をお持ちである。先にも述べたが、ヴェルディは非常に厄介な特徴を持つ作曲家で、力だけでは押し切れないのである。音が圧力を保ちながら大きくなる。そこでは声は鋭い響きで突き抜けなければならない。しかしある瞬間に本当に薄い、人のため息や心の鼓動を表す伴奏形態が出てくる。ここでは歌い手はレガートを十分に聞かせた音楽を自分で創造しなければならない。慣れていないと美しい音楽を聞かせるどころか、最後まで持たなくなる危険性が高い。特に気を使うのは音符の持つ長さ。書かれている通りに歌うか、短めに切るか、響きの余韻を残すかは歌い手に委ねられている。あとスタッカートが多用されるが、その処理について、所謂ヴェルディスタッカートと呼ばれる、テヌートとスタッカートの中間で対処するか、もっと短かなもので歌うのか。もちろん楽譜には色々と書かれているが、音高や音形、言葉のニュアンスに応じて微妙に変えると、それが見事にニュアンスに反映されやすくヴェルディは書いているので、やりがいは満点である。相模大野は都心から30分はかかるが、マチネ公演でもあるし多くの皆さんがヴェルディの魅力を満喫しに来ていただけることを心から願っている。
