久しぶりにイタリアに帰ってきた!噴火の影響で日本から一歩も出られぬまま10か月が過ぎてしまった。帰伊してまず向かう先はモデナなら気軽に3ヵ所である。うちの一つ、、ピッツェリア「グロッティーノ」は、もはや我が家の台所と化しているような優良店である。
ここの自慢は何と言ってもそのトマトソースにある。映画により日本でも一躍その知名度が上がったアマルフィ出身の店主が、夏の間1ヵ月間田舎に帰り美味しいトマトを収穫し(この地のトマトとレモンはイタリアでも有名)1年分を秘密の製法でソースに仕上げる。それをモデナに持ち帰ってスパゲティはもちろんの事ピッツァや野菜と和えたり、肉の上にかけて食べたりする。うまくなかろうはずもない。そういうわけで一押しは、基本中の基本、スパゲッティポモドーロでございます。まずその量が良い、作る人によって2パターン存在するが(とてもアバウト。2人分頼むといっぺんに作って取り分けるので必ず量のばらつきが認められる。その日の運勢占いのような気分で待つ)基本おなかいっぱいにさせてkれる。テーブルに運ばれた瞬間にあたりに薫る心地好いニンニクの香り、バジリコが一枚だけはらりと乗るシンプルな装飾は、ただ南の太陽に精神を誘ってくれるかのよう。友達の家に呼ばれてマンマが心をこめて作ってくれる普通の国民食。それがこの一品である。ああ、乗ってきた。今日は語りますよ。もう一つのお薦めパスタは「ニョッコ」じゃがいもをゆでてつぶして団子にした、「いも団子・イタリア版?」これを陶器の深皿に敷き詰めて、チーズをたくさんかけて、件のトマトソースを満たしピザ窯で焼きあげたら出来上がり。夏の食べ物ではないけれど、一個一個をフォークで持ち上げて糸引くチーズを手繰りながら食す感覚はさながら臭わないチーズフォンデュのよう。皿にこびりついたチーズはもんじゃを引き剥がす快感に似ていると感じるのは僕だけであろうか。さて、当然ピッツェリアであるのでピッツァを書かないとピッツァ職人に殴られてしまう。ここのピザは周りが厚め、中央が薄い当然ながらのナポリタイプである。ドライ系、ウエット系どちらも楽しめるが、僕はこちらのウエット系の「ベッラ・モデナ」をいつも頂く。これは生ハム、野菜、などがたっぷり乗った中央に卵が1個、目玉焼きのように黄身半熟状態でのっかっている。これをつぶして、生地を黄身につけながら食するのである。イタリアは基本、生玉子は絶対食べないので、卵かけごはん党の自分としてはこうして郷愁を慰めている。ほかに玉ねぎが甘くておいしいのでその味が最大限に生きる「トンノ・エ・チポッレ(ツナと玉ねぎ)やスペインのチョリソーとは風味の違うイタリアの辛いソーセージを乗せた「アッラ・ディアヴォラ」などは。この店の真価を発揮できる代物である。さあ止まらない。この店には僕らしか知らない(と勝手に思っている)一つのイベントがある。月曜日と金曜日の昼に、南から素晴らしいものが毎週入荷されているのです。それは「モッツァレッラ・ディ・ブッファラ」このソフトボール大の宝石は実にイタリアでしか、ここモデナではこの店でしか食べられない。以前ナポリのテアトロで1ヵ月間捕まっていた時、テアトロ近くのレストランで毎日注文をし、後日店員に「いいか、日本人が来たらこれだけを出せ、どうやらこれさえあれば彼らは喜んでくれるみたいだ」と勘違いせしめて大笑いしたほど美味しかったあの味がここで週2回食べられるのである。さて、この店のブッファラの食べ方はこうである。お皿に丸ごと載せる、脇にオレガノとバジリコを一枚乗せる。以上。これを前菜、もしくは主菜として頂く。真緑のオリーブオイルに、後僕はその白色を壊してしまうかのようなアチェートバルサミコを数滴垂らして食べるのがお気に入りだ。もちろんトマトを添えて「カプレーゼ」として食べる王道もあるが、モッツァレラ愛好家の客たちはたいていこのようにして至福の時間を過ごしている。この店に通い始めて早20年目になるが、何よりうれしいのは「この店に入ると家族のように親しく、お客様として大切に」扱ってくれる事であろうか。今回も店の入り口に立ったらピザ職人が飛び出してきて「いったい今までどこにいたんだ、さあ席につけ」とカメリエーレを呼び、まあ暇だったのかテーブルまで来て「ストゥリーア(薄く焼いた、まあパンのようなピッツァ、薄くトマトソースと、僕はニンニクをいつも乗せてもらう。焦げが、うまい)焼くか?」とか持ちかけてくる。店主は時代がかった様子てことさら丁寧にうちの奥さんに手にキスを始める。ブリンディシ出身カメリエーレは「いやー明日から休みなんだよ。(毎年8月第2週から8月いっぱいは夏季休暇従ってこれを書いている今は休業中)お前らが日本に今度帰る頃また店を開けるよ」と気分は既に上の空。初めて店を訪れた時、店主に怒られながら店を遠慮がちに飛び回っていた長男も今は立派なカメリエーレの一人。この店には、僕のイタリアでの思い出がいっぱい詰まっている。このまま書き続けるとおなかふぁすいて死にそうになるので、今日はこの辺で勘弁して下さい。それでは、次回をお楽しみに!あ、練習ももちろん進んでいますよ。9月9日、コンサートを聴き終えた後、イタリアンが食べたくなるような、ヨーロッパの風を皆さんに感じてもらいましょう!
追伸;今回はまだ食べていないけれど、実はモデナは「スイカの名産地」として有名。街の至る所に「スイカバー」が点在し、8分の1カットを2ユーロぐらいでその場で食べる事ができる(ナイフとフォークつき)でもうちの近所のスイカバーは更地になっていたな。メロンも同様に有名で、さてここにエミリアロマーニャ特産の生ハム(パルマが有名ね)がのっかるとどうなるか、。そう、それこそが初めて僕がモデナに来た夏にあまりに美味しくて毎日食べ続けすっかりおなかを壊してしまうほど夢中にさせた「プロシュート・エ・メローネ」通通称「生ハムメロン」であーる。これはここでなくともモデナの至る所で食べられる。しかし北に行っても南に行っても都合が悪い。北は(例えばミラノ)は生ハムがよろしくない。モデナで食べるような代物は高い。さて南は物価は安いが。メロンが「白メロン」多分まくわ瓜に近いと思うが、生ハムメロンは赤肉メロンが絶対うまい。イタリアは、何でもどこでも食べられる日本とは違って、食べるものを決め込んで店に入ると失敗することが多い 。その土地の一番おいしいもの、または地元の人が談笑しながら食べているひと皿を食することがまずはずれない方法であると確信している。蛇足ながら美味しいところをいろいろ知っているイタリア人であるが、彼らの助言を、特にお店の評価を鵜呑みにすることは危険である。なぜなら彼らが世界で一番おいしいと信じているひと皿は、自分のマンマガ作るパスタであるから。でも、これもきわめて正しい!
